ここでは、PASSとして表れる症状、また回復していく時に経験することが多いといわれている症状をwww.afterabortion.comの記事を参考に紹介します。
ひとえにPASSといってもその症状や一人一人が通るプロセスとその順序は様々です。もしあなたがPASSの症状に苦しんできたなら、人には理解してもらえないだろうと感じることがあったのではないかと思います。でも、同じようなプロセスを通って実際に回復することができた例はあるということ、あなたにとっても終わりがないように感じられるトンネルから抜け出すことは可能なのだということを知ってほしいと思い、以下を掲載しました。必ずしもこれらの段階を全て経験しなければ回復のステップを進めていないわけではありませんので、あなたの助けになる形で参考にしてください。
1.事実や状態の否認、無感覚、無気力
このステージは、実際の手術が行われる前から始まることもあります。妊娠を中断させるかどうかという決断は精神的にとても難しいものです。あまりのストレスに、時に毎日の生活で現実と関わることが難しくなったりします。(例えば、産婦人科に行かなくてはいけないとわかっているのに行くことができない、手術の予約をすることができない、何をしたらいいのかわからない、全てが霧につつまれているような感覚になる、等。)ある女性は、手術台から降りた瞬間から中絶の事実を「なかったこと」と自分に思い込ませたそうです。この女性は、11年間全ての気持ちや記憶を封じ込めて事実を否認し続けましたが、結果として重症の神経衰弱に陥り、入院生活をしたということです。 この他に、性的不感症、摂食障害、アルコールや薬物の乱用、うつ、人間関係における問題や自尊感情の低下などの症状を経験する人もいます。
2.気持ちの表面化(中絶のことを思い出すときに、悲しみや不快感を感じる)
このステージでは、他の赤ちゃんや妊婦に会うことを避けたり、お店の赤ちゃん用品売り場を避けたり、妊娠や中絶に関する会話を避けたりするというようなことが見られます。本人は、なぜこのようなことを避けようとするのかを自覚しない場合もあります。また、イライラしがちになったり、いろいろな事(周りの人たちの行動、反応や周りの出来事や音などにも)に対して過敏になったりします。
3.状態を認識するようになる(中絶のことで悲しんだり悩んだりする)
中絶をしたという現実に向き合い、極度の悲しみを感じたり、胎児が感じたであろう痛みを想像したり、赤ちゃんや中絶のことが頭から離れなくなったり、自分を「殺人者」だと感じたりして、時にはアルコールや薬物、その他の言動によって自分を罰しようとするようになります。睡眠障害を訴える人も少なくありません。また、このステージで、「もう一度妊娠すれば失われた赤ちゃんの代わりになる、辛い思いから逃れられる」と考えて無理な妊娠を繰り返そうとする人もいます。うつ状態に陥ってしまう人が出てくるのもこのステージです。また、同じ中絶の経験を繰り返しているような錯覚に教われることもあります。感情的に停止あるいは無感覚になってしまうこともあります。日常生活を続けていることが無意味に思われたり、この先人生を続けていくことが無意味に感じられたりします。しかし同時に、中絶を決断するにあたって関わった人たちに対して怒りを感じることもあります。このことに悩まされている自分に対して恥を感じることもあります。妊娠して中絶することさえなかったら、と考えますが、その事実を変えることはできないため怒りや落ち込みを経験します。 4.怒りを感じ始める(相手や周りの人たちに対して)
ステージ3の症状に悩まされ続けながらも、怒りの感情が強くなってきます。無感覚だったところから、中絶を強いられたと感じる人たちに対する怒りが表面化します。少しのことで感情を押さえきれなくなって爆発したり、怒鳴ったり、物を投げたりという行動が見られることがよくあります。このような行動は、サポートや治療をすすめることができるような人々を遠ざけてしまうことがあるため、日常生活が辛くなります。本人は、まだこの時点ではなぜこのような問題行動が出てきてしまうのかがわからないため、自分から助けを求めようとはしません。また、自分に対する怒りも出てきます。妊娠中の女性を見ても怒りを感じることがあるかもしれません。うつと診断されるような症状を訴えることもあるでしょう。中絶をなかったことにしたいと願いますが、そのことは不可能であるため、葛藤や怒りがあります。
5.怒り、または深い落ち込み 怒り:破壊的行動。お酒や薬の乱用、他の人と軽々しく関係を結ぶ、無茶な行動、子どもや家庭からの現実逃避、過食、拒食、リストカットなどの行為が見られます。全くコントロールのきかない行動、感情なども含まれます。他人から見ると思いやりがない、自己中心、病んでいるように見えますが、何が原因かはわからないといった状態です。本人はそのような行動に駆り立てている原因に疲れ果てつつあるのですが、それをとめることができません。中絶が原因なのかもしれないとも考えますが、どのような助けを求めればいいのかわからない状態です。ネット上で怒りを表現してみたりする人もあります。
落ち込み:深い落ち込み(うつ)に入ってしまうことがあります。朝起きられなくなったり、身の回りのことができなくなったり、絶望感に教われたり、自分も死んで赤ちゃんのところへ行きたいと思ったりする人もいます。食べることも拒否する人もいます。将来の意味や希望が見いだせなくなったり、トンネルの中にいて、そこから出られないように感じることがあります。日常生活を続けることが困難になり、仕事や学校を続けられなくなってもかまわないと感じます。何もかもがどうでもよくなってしまうという状態です。このような状態に陥っている場合は、一刻も早く専門家の助けを得ることが必要です。ジャパンアライヴでご紹介している団体:ライフ・ホープ・ネットワーク 6.解決の始まり(何が起こったのか、何を選択したのか、ということを考えます)
中絶に関する気持ちを解決するために、助けが必要なことを認識し始めるステージです。悲しみ、恐れ、パニック、などの症状は残ってはいますが、解決があるかもしれないということに希望を感じ始めます。
7.許し(どのように自分を許すのか、怒りの対象となっていた人々を許すということについて理解し始めます。赤ちゃんに名前をつけて許しを願う人もいます。)
助けを得ることによって、何が起こったのか、それがどのように自分に影響したのかを考え、自分と周りの人々を許すことができるようにするようになります。不安感が戻ってきたり、他の症状も残っているかもしれません。実際の中絶から時間が長くたっていればいるほど、回復は困難であることが多いようです。このプロセスから逃げ出したい、普通に戻りたいと思う人も少なくありません。癒しとそれに必要な全てのプロセスに圧倒される気持ちになったりして、そこから逃げることのほうが良いのではないかと思うことがあります。癒しのプロセスを一時中断する人もいますが、大体の場合症状が残っているので、癒しの作業に戻ってくることが多いです。
8.心が落ち着いてくる(自分の感情や失われたものに対する気持ちが整理されてくる、悲しみのステージをほとんど乗り越えた状態)
癒しのプロセスを進めていくうちに、光が見えてきます。気持ち的にも楽になってきて、悲しみや罪責感や落ち込みもいくらか軽くなっています。自分に対して、中絶との関わりについて、気持ちの整理をつけられるようになってきます。状況に対して納得がいくようになってきます。赤ちゃんを失ったことに対する痛みはあっても、以前のように絶望的なことではなくなります。妊娠中の女性を見ても、それほど怒りなどを感じないでいられる状態です。将来を見る事ができるようになり、生きることの意義を感じることができるようになります。
9.完全に心が和解した状態
自分を完全に許すことができ、相手や関わった人たちを許すことができるようになります。赤ちゃんを失ったことに対しても、心が落ち着くようになります。中絶について、感情に支配されずに話すことができるようになります。症状は軽いか全くなくなり、日常生活を普通に過ごすことができるようになります。 いろいろな癒しや回復のプロセスは、たまねぎの皮をむいていくようなものです。一枚剥がれて大丈夫!と思っていたのに、また症状がぶり返してしまった。。。ということは少なくありません。でも、だからといって前に一歩克服した経験が偽りであったとか無意味であったとかいうものではないのです。むしろ、複雑な気持ちがあることのほうが自然かもしれません。自分の気持ちをばかばかしいと考えないでください。あなたが一歩一歩回復のステージを進んでいくことができる助けが見つかりますように心から願っています。
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