性感染症:本当の事を話せない
前回から私がイギリスでしていたお仕事について書いていますが、HIVを含めたSTDを取り扱うクリニックとは言っても、「ただ感染症を治療すればいいんでしょ」というクリニックではないんですね。
実際に、感染症の検査や治療自体は結構すぐに終わるものです。
大体は1週間ほど薬を飲めば一応なくなるはずのものがほとんどです。
(中には20日間も毎日続けておしりに注射を受けなければいけないものもありますが!看護師としてかわいそうになって止めてあげたくもなるんですよね。。。逆に自業自得だ!と思ってしまうようなケースもありましたが)
でも、クリニックに来る人たちが一番辛いと思ったり受診したくない、と思うのは感情的な理由かもしれません。
「性」という分野は、私たちの人間としての最もコアの部分と関わることですよね。ライフスタイル、アイデンティティー、自己価値、人生観、人間関係、将来設計、などなどいろいろなものと切り離して考えられないもの。
1人との関係や一つの性行為を取り扱う(治療なども含めて)といっても、それまでの自分の過去の経験や関係、そこからくる良い思いも後悔も自責感もくっついてくるから、たくさんの精神的プレッシャーを自分の内で整理しないと「治療」も「解決」を求めるところまでいけなかったりする。
ヘルスアドバイザーとしては、特に医学的な治療というよりもその人自身の病気の受け止め方やライフスタイルに焦点を当てることをしていたと思います。
(人によって役割の理解は違うと思うけど)
その中では当然、その人の病気以外の問題(習慣、信じていること、知識、行動に関するもの)も見えてくるわけなんだけど、問題があることに気づいていないケースがほとんど。
だからヘルスアドバイザーは繊細さも忘れないようにしながらかつプロフェッショナルに本人がその問題の存在に気づくことができるようにも促していくということもします。
でも難しいのは、本当のことを話さない患者さんたちが多いということだったんです。
事情はいろいろで、家族や知人から性的暴力を受けたことを隠そうとするからだったり、自分の性習慣を恥じているからだったり、自分では良くないと分かっている関係を続けているからだったり。
その人の人生に口出しして自分の価値観を説教したり、必要以上に介入することはできないけれど、本人や他人の健康に危険を及ぼすような行為があるならば、それもうまく発見して対応していかなければいけないんですよね。
セックスというのは、自分にとって大切なスペシャルな相手に対して親密さや信頼感や愛情を表すものであり、新しいいのちを産み出す素晴らしい行為であるはずなのに、私たちの多くにとってはすごくたくさんの罪悪感や恥や痛みを伴うものとなってしまっているのは悲しいことですよね。
「性」に対するイメージを変えていくことも必要だと思います。



